物語讃歌

物語について語ります。 Twitter:@monogatarisanka

詩「月光」

 月光

月の光が息を詰め

花が聞き耳立てし夜

とある一人の密偵が 

まさに殺されなむとする

 

さらば世界よ 今思わば

全ての時が懐かしい

むかし都で花買いし

あの花売りは今何処ぞ

 

さらば世界よ 今思わば

今朝の旭の美しさ

それを二度とは見れぬとは

今朝の私は知らなんだ

 

さらば世界よ今思わば

幼き頃に良く聞きし

あの歌声の主は誰そ

 

銃声ひとつ あとは闇

月の光は 息を吐き

花は無心に揺れている

 

月の光は 息を吸い

花は無心に揺れている