物語讃歌

物語について語ります。 Twitter:@monogatarisanka

詩「月光」

月光 月の光が息を詰め 花が聞き耳立てし夜 とある一人の密偵が まさに殺されなむとする さらば世界よ 今思わば 全ての時が懐かしい むかし都で花買いし あの花売りは今何処ぞ さらば世界よ 今思わば 今朝の旭の美しさ それを二度とは見れぬとは 今朝の私は…

「君の名は」対話篇~三番目の主人公~

桃子「義三さんもう『君の名は』ご覧になった?」 義三「やたら急に始めるんだね。」 桃子「あら、私の都合じゃなくってよ。」 義三「じゃあ、誰のだい?」 桃子「今これを書いてらっしゃる方の都合よ。評論で書くと分かりづらい文章になるから会話で進めた…

「人はなぜ物語を求めるのか」―千野帽子― ちくまプリマ―新書273 を読んで思う事。

私は子供のころから不思議に思っていたことがあった。それは「借り」という概念だ。マフィア映画などで「お前には貸しがあったな」とかいうセリフを聞くたびに、なぜこの人は暴力で人を脅すことを生業にしながらわざわざ「貸し借り」の概念を持ち出すのだろ…

詩 和歌 作品集

【五・七・五】 黄昏に 鳴くは烏の 親か子か 電線に 賽の目切りに される空 花持ちて 駆け出す稚児の 行く先は 【五・七・五・七・七】 図書館の 白き花咲く 此の春も その名も知らず また過ぎにけり 路地裏に 一片舞うは 桜花 振り向き見れば 花あるめやも …

翻訳 歌詞 "Little Talks" by Of Monsters And Men

www.youtube.com I don't like walking around this old and empty house. この空っぽの家を歩くのは好きじゃないの So hold my hand, I'll walk with you my dear. なら手を握って 僕が一緒に歩くよ 愛しい人 The stairs creak as I sleep, It's keeping me…

随筆 「キャラが立っている」とは何か? 「血と砂」「放浪」「けものフレンズ」「月がきれい」を例に

自分が先刻ツイートした事についてつらつらと考える内に、「キャラが立っている」という現象には二つの要素が関わっていることに気づいたのでここに記しておきたい。 結論から言うと、その二つとは「キャラクターの行動"原理"に一貫性がある事」そして「キャ…

随筆 坂口安吾について私の思う事

もし私が、「あなたの一番好きな作家は誰ですか?」と聞かれたならば、おそらく迷うことなく坂口安吾であると答えると思う。彼の作品の良さを一言で言い表すことはとても難しい作業なのだが、誤謬を恐れずにあえて定義するならば、彼の魅力は「人とその業へ…

翻訳 詩 "Who can stand" By William Blake

"Who can stand" By William Blake O for a voice like thunder, and a tongue To drown the throat of war! When the senses Are shaken, and the soul is driven to madness, Who can stand? When the souls of the oppressèd Fight in the troubled air t…

引用 「菜根譚」

最近買った本の中に「菜根譚」があった、このところ漢詩や漢籍に興味があるので手を伸ばしてみたが、なかなか良い警句集であったので最も気に入ったものを抜粋して紹介したい。なお、番号は岩波文庫版の第23刷に依った。 前集 一〇七 天地有万古、此身不再…

詩 「今は昔」

今は昔 今は昔 山に鬼あり人食いて 日暮し野山に駆けて 歌よめり曰く「花土より出で 土に帰す何ぞ人の異ならむや」とてさて時の中将 これを聞きて供を連れ山に分け入り鬼の首を討ち取りたり鬼の問うて曰く「花土より出で 土に帰す何ぞ鬼の異ならむや」とて中…

詩 「疲れて眠る事への讃歌」

疲れて眠る事への讃歌 心荒みて眠る日の 人に幸あれ魂は それが弱さの故なれば 永久に苦しむことを得ず そが魂の懊悩は Egoの虚ろな影ぞかし 光り輝くそのEgoの 光届かぬ夜の夢 白く焼かれた魂は 夜のMeadowに身を伏せて 疲れて眠る魂は それが弱さの故なれ…

物語について考えたことを書いていきたい。

物語が好きだ。 あらゆる形態のメディアの物語が好きだ。 小説、詩、映画、音楽、アニメ、漫画、演劇、浄瑠璃、歌舞伎、 物語というものを中心としたメディアであればそれでもう好きなのだ。 だが、まずはブログの初めに物語そのものの定義を試みたいと思う…